清賀手記

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若手お笑いバトルステージ観戦記 その1:ゲレロンステージ(東京) 19.02.16

 2018年春に東京進出したよしもとクリエイティブエージェンシー所属「大自然」さんの単独ライブを観戦にお江戸詣でをした。そのついでと言ってはナンだが、東京の若手芸人に触れてみたいと、3つのバトルステージを観てきた。素人ながら、寸評を記しておこうと思い、2回に分けて記事にした次第。

 

【ゲレロンステージ】

2月16日(土)14:00~

場所:新宿ハイジアv-1(70席…固定63席)

 

 入場料は大阪吉本の若手芸人バトルの場「UP TO YOU」、「MEKKEMON」と同額500円。木戸口で渡されるのは採点表のみ。57組がエントリーされ、出演者名の右側に「面白かった5組に○をつける蘭」がある。持ち時間は3分で、それを超えると照明が薄暗くなり、その10秒後くらいに完全に照明が消される。

 

 『ゲレロンステージ』はK-PROが主催する、フリー・アマチュア不問の芸人を中心としたバトルライブ。来場者による採点上位入賞者はK-PRO主催ライブに出演できることを企図している定期的に開催されるイベント。ここを足掛かりに芸を磨き知名度を上げようとする老若男女、芸歴も関係ない、芸人のエネルギーがうずまく空間となっている。年齢を重ねてしまった悲壮感漂う芸人や、他事務所で芽が出ずここにかけようとする芸人から、全く無垢な状態の芸人まで出演し、観る側としては単に「笑いに来た」というお気楽な気持ちで入場すると、独特なエネルギーに圧倒されてしまいそう。そんなバトルライブだ。

 

 出演者について、当初東京だからコントが多いのかと踏んでいたが、意外と漫才形式をとる演者が多いこと(6割くらいか)、ピン芸人はフリップ芸が3・4割程度。私見だがフリップ芸はある程度の場数を踏まないと、ネタのチョイス、声の強弱を含めた話術、絵のクオリティ(逆張り…ヘタをウリにすること…も成立するが)、フリップをめくるタイミングと正確にページをめくる技などが前提となるため、少し余裕ができた芸人が取り組む芸だと思われ、芸人として次の展開を求めるバトルステージで勝負する形式ではないのかもしれない。

 

 素人の分際で芸を語ることはおこがましいのだが、来場者の評価が彼らの評価に直接つながるということなので、寸評をしていいと思いこのように書いている訳だが、感じたことを率直に言うと、出演者の「腕」はそれこそピンからキリまで差が一目瞭然。

初見の来場者は出演者の所属や芸歴などは一切わからず、目の前の「料理」を味わうだけ。つまり評価にバイアスはかからない。ただし大阪芸人を愛する者としては、ついつい関西弁が出てきたりすると、ほほえましいと感じた場合は若干ひいき目の評価になったり、逆に関西出身ながら東京色に染まり切ろうとしている顔が見えたりすると、つい辛い評価になったりするのだが。

 

 ワタシが〇をつけたのは「コンボイコンボイ」、「モリコウヘイ*」、「カレーナポリタン」、「ひょろし*」、「フルフロンタル」の5組。「*」はピン芸人で、あとは漫才形式の演者。以下漫才、コントの順で投票した芸人さんについて寸評しました。

 

コンボイコンボイ

なぜこのクラスのステージに立っているのか不思議なくらい出来上がっている。吉本で言えば「セルライトスパ」と同じくらいの安定感がある。後に検索してみたところ、現在フリーだとのこと。なるほど、バックアップがない中、あらゆるチャンスを求めての出演かと合点がいった。

松村氏ツイッターコンボイコンボイ 松村 (@convoyconvoy_m) | Twitter

おばた氏ツイッターコンボイコンボイ おばた (@convoy_obata) | Twitter

 

▼カレーナポリタン

コンボイ同様、なぜこのクラスのステージに立っているのかというくらい出来上がっているコンビ。包丁の実演販売をとりあげ、ありがちな包丁持ちの危険さではなく、ひとひねりした包丁の「危なさ」を演じていた。後に検索すると、元名古屋吉本15期生(2002年)で、同期の大阪NSCにはジャルジャル銀シャリ、プラスマイナス、アキナの秋山(ご結婚おめでとう!)がいる。なるほど、このクラスのキャリアか。現在SMA(ソニー・ミュージックアーティスツ)所属となっているが、同社のHPに彼らは掲出されていない。

神田氏ツイッター神田一(カレーナポリタン) (@kandahoikorou) | Twitter

同show room:https://www.showroom-live.com/room/profile?room_id=196519

 

▼フルフロンタル

これも後の検索で分かったことだが、東京NSC19期生(2013年)の主席で、卒業1か月後に単独ライブを開いているとのこと。その後関東方面の劇場での出演経歴はわからないが、テレビでの露出が少ない印象は否めない(実際関西では全く目にしない)。だからここにいるのかと思ってしまう。ちなみに大阪の同期には8.6秒バズーカーがいる。吉本クリエイティブ社は東西NSC成績上位卒業生を「早稲」よりも早い「青田買い状態」で市場へ出荷してしまった年なのかと思ってしまう。東西のNSCさん、「調子こいてた」のかな?

岡田氏ツイッターフルフロンタル 岡田(@1473939naop)さん | Twitter

黒田氏ツイッター黒田のフルフロンタル (@kuroff0910) | Twitter

 

▼モリコウヘイ

ストーカーの疑義がかけられ、話の導入は被害者の立場からスタートするが、相手に訴えかけるという台詞回しの中で、徐々に「コイツはヤバイ奴」というベールがはぎとられていくという展開。中年にさしかかったモテそうにない男のストーカー噺を一人コントにするというのはよくある手法なのだが、言葉のチョイスと「間…ま」が、キモさを増幅させていた。

モリ氏ツイッターモリコウヘイ(@morikohei0622)さん | Twitter

 

▼山嵜のおっさん

しまった…当日ピン・フリップ芸人「ひょろし」に投票したけど、時間をおいて文章化しようとすると、ほとんど印象がない。最後まで迷った「山嵜のおっさん」の方が強烈に脳裏に焼き付いている。よってここは「山嵜のおっさん」について。

ピン芸人で、自動車損保会社の事故担当者という設定。「オカマをほられた」(追突された…仮にAとする)被害者と「オカマをほった」(追突した…仮にBとする)加害者をはさんで担当者が両方から話を訊くという設定。話が進展する中、どちらも男性の同性愛者であることが判明してくる。だがAが能動的な嗜好を持ち、Bが受動的な嗜好を持つということがわかってくる。そこで追突事故の慣用句である「お○ま」という言葉が交錯して、担当者がカオスにおちいるというストーリー。最後まで投票を迷ったが、当日はきっと「ひょろし」の芸の圧が強かったのだろう。ワタシとしたことが…

山嵜氏ツイッター山嵜のおっさん(@YamazakiSeijin)さん | Twitter

 

※モリコウヘイと山嵜のおっさんは、ソニー・ミュージックアーティスツ内「NEET-PROJECT-びーちぶ」という、「芸人再生プロジェクト」(と言えばいいのか)に所属しているようだ。

 

 この日の優勝は「観音日和」という僧侶コンビ(漫才)、二位が「フルフロンタル」。3時間という長丁場で、腰と臀部を痛めながら観ていた中、なんともはや観音日和さんの出番だけ、トイレに行って、彼らのネタを観られなかった。ワタシのこのマンの悪さよ…

 

▼ゲレロンステージ

お笑いライブ・イベント制作 K−PRO

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ゲレロンステージ メモ&採点